接近者たち③

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接近者たち③

湊さんに部屋まで送ってもらったあと、クラクラを払拭するかのようにすでに把握している部屋の窓や壁面のサイズを測った。賃貸なので出来ることは限られているが、ガラッとイメージを変えてしまいたいので手っ取り早いのはメインのカラーを変えること。 翌朝、私は10時に迎えに来るとメッセージをくれていた恭平くんに電話を掛けた。 ‘ゆう?どした…おはよ’ 「おはよう、恭平くん。起こしちゃった?」 ‘起きてた…どうした?’ 「恭平くんにお願いがあって電話しました」 ‘しましたって…かしこまるようなお願い?いいよ’ 「聞いてないのに?」 ‘うん、いい。でも一応聞く。何?’ 「ふふっ、一応聞くんだ」 ‘ゆうが言いたげだから’ 「む…ムッ…言うんだけど…あのね、ローソファーを車に乗せてもらってリサイクルショップに連れて行って欲しいの」 ‘いいよ、お安いご用です。買い替えるのか?’ 「ローソファーはやめるかも…今日うろうろしてからだね」 ‘了解。スニーカー履いて来いよ。俺が運ぶからゆうは何もしなくていいぞ’ 10時ぴったりにインターホンを鳴らした恭平くんは玄関に出しておいたソファーを持つと 「これだけでいい?」 と私に聞く。 「うん。カーテンとラグは替えたいけど、もし今日買わなかったら困るから」 「じゃあ、行こうか?今日だけで選べなかったら、明日も付き合うからさっさと替えてしまえ」 「うん、ありがと」
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