接近者たち③

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「リサイクルショップって決めてるのか?」 シートベルトをしながら恭平くんに聞かれる。 「ううん、どこでもいいの。捨ててもいいんだけど」 「このサイズのゴミを処理場に運ぶならリサイクルショップってことだな?」 「そう。資源を大切に」 「ははっ…じゃあ…っと…リサイクルショップから住宅展示場へ行って、インテリアホームセンターって感じか?」 「うん、お願いします」 「インテリアホームセンターは北欧発か国内発、まずどちらか選んでくれよ」 ゆっくりと車を発進させながらそう言う恭平くんは、ローゲージ仕立てのルーズフィットシルエットのグレーのタートルネックを着ている。両脇にあしらわれたケーブル柄がさりげなくお洒落だ。 「なんか…服、かぶったね」 「ゆうとお揃い」 「タートルとブラックパンツ…」 「そのタートル、ゆうに似合ってる」 私はオフタートルのふんわりざっくりな畦編みニットで、色は薄い玉子色。 「ゆうさ、そういう格好のまま事務所にいる時とスーツの時があるのはクライアントと会うか会わないかの違い?」 「一応そう。でもこの格好の日にお客様に会うってなったら‘玲ハウジング’のジャンパーを着るからあまり気にしてない。カラーコーディネーターとかカラーセラピーの日はちょっと気にしてるけど」 「俺もコーディネートしてもらわないと…作業着の時間が長すぎるからか私服が少な過ぎて今朝自分でびっくりした」 本当にびっくりした風に言う恭平くんが可笑しくて笑ってしまう。 「恭平くんはカラー以前に洋服をカッコよく着こなせる体型だよね。何でも似合うタイプ」
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