接近者たち③

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「思ったより時間掛かったね、ごめんなさい」 「大掃除して不要品を持って来てる人が多かったかもな」 「恭平くんに、この2500円でランチご馳走するよ」 「豪華ランチだな、サンキュ」 恭平くんは気持ちよく奢られてくれると、以前玲子さんが言っていた。そして律儀に玲子さんの誕生日やクリスマスといった時にプレゼントをしてくれると。 ついでに私にもちょっとした物をくれる。先日の玲子さんの誕生日には恭平くんから可愛い赤いタンブラーをもらって会社で愛用中だ。 「あのタンブラーのお礼も兼ねて…豪華ランチって言っても一人1250円だからね」 「平日のランチは1000円までって決めてるから、それ以上は豪華ランチ」 社長の息子でありながら役員にならずに現場で頑張る恭平くんらしい言葉だと思う。 「そうだね。私にとっても豪華ランチだ、ふふっ」 そう言うと大型の住宅展示場が見えてきた。 「わくわくだねぇ、久しぶりだ。ありがとう、恭平くん」 「ははっ…まだ入場してないのに礼を言われた」 「恭平くんはよく来る?」 「来ないなぁ。入社前に何度か足を運んで以来全く」 「じゃあ、きっと楽しいよ」 「だな。ゆうに楽しみ方を教えてもらえそうだから余計にな」
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