目撃者たち

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「そうだよな…夕月が泣かなかったことに乾杯する?カッコ良かったよ‘子ども出来て良かった…お幸せに’ってね。頑張ったな」 湊さんは私の頭にポンと一度触れてから 「乾杯」 一口分しかビールの入っていない私のグラスにコツンと自分のグラスを合わせた。 「話が読めちゃったわね」 お通しの焼き白子豆腐を私たちの前に置きながら、大将の奥さんが私を見る。 「夕月ちゃんにお酒、サービスしちゃう。枡酒?もっきりにする?」 「うーん…迷うけど…枡で頂きます」 「良かったね~夕月」 玲子さんに頷き 「いただきます」 手を合わせてからお箸を持った。ここはお寿司はもちろん、一品料理もとても美味しい。毎月のように玲子さんが連れて来てくれるので、もう大将夫妻とも6年の知り合いと言える。 私は大学生の時、インテリアコーディネーターの資格取得を目指す段階で知人、友人に部屋のコーディネートをさせてくれとお願いしていた時期があった。手当たり次第に声を掛けていたので、誰からどう話が回っていったのかは定かではないが、玲子さんは 「就職先、うちも考えて」 知人の部屋を模様替えする私に伝えに来てくれた。そして色々と考えた結果、インテリアコーディネーターとカラーコーディネーター、カラーセラピストの資格を取得して玲ハウジングに入社した。
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