接近者たち③

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ひどい仕打ちを受けた後には‘モテ期’というのが到来するのか?昨日は湊さん、今日は恭平くんの言葉と視線が甘い気がするのは気のせい?フラれた直後の愛されたい願望が錯覚を起こさせた? きっとそうだよね…こんな身近でって余計にややこしい。あれこれ考えずに欲しい時に私から手軽に手を伸ばせる恋愛がいいの。あっ…素敵… ハイバックのパーソナルチェアが目につき腰を下ろしてみる。沈み込み過ぎずにいい弾力だ。ベルベット素材も気持ちいい。靴を脱いで大きな座面に胡座をかいても十分な大きさだ。 「恭平くん、そのオットマンを取って欲しい」 「ん、これな」 すぐに私の前にオットマンを置いてくれた恭平くんだが、私が足を伸ばしても絶妙な感じで快適にならない距離に置く。 「イジメだ」 「違うよ、俺の感覚ではこの辺りだったから…ん、これでいいか?」 私の方へ置き直してくれた彼に 「好きな子をイジメるのは小学生だよ」 と言ってみる。 「好きってバレてる?でもまだ言わないから‘違う’って言っておく」 そんなに真面目に答えないでよ…すごく好きみたいじゃないか…
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