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私の部屋へは恭平くんがチェア、私がオットマンを持って上がった。
「イエローで良かった。これならカーテンはこのままでラグだけ買い替えようかな…この椅子に居座るから小さなラグに…」
「ゆう、うまいっ。イスにイスわる…」
「恭平くん、漢字変換ガンバレー」
もう良くわからなくなってきた。今までも仲は良かった。こうして軽口を叩き合うことも何度もあった。でも今日一日、何度か甘い言葉と視線を送られていることに戸惑いを感じて…でもまた今みたいに今まで通りで…
「うん?どうした?」
恭平くんがもうすっかり靴を履いているのに部屋に突っ立ったままの私に、彼が心配そうに聞く。
「戸惑い中…」
自分の部屋という自分のテリトリーで、私は正直な気持ちを口にする。ここでなければ言わなかっただろうけど…
「ん、ゆう…ここまで来て」
恭平くんが私に手を伸ばすように優しく言うけど
「それ…それに戸惑い中なの」
一歩も動かないで自分の気持ちを吐き出す。
「そっか…」
恭平くんはそう言いながらもう一度靴を脱いで私の目の前まで来ると
「戸惑い中だけど嫌ではないか?」
恐る恐るといった様子で私の頭を撫でた。
「…嫌ではないけど…今も恭平くんが甘いの…今までと違って…今日何度もそうなの…」
「それは今までと違って当然だ。今まではゆうに付き合っている男がいた…でも今はいない。大違いだろ?」
「…その言葉の意味がわからないほど子どもじゃないの…だから戸惑ってる」
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