接近者たち③

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タクシーで送ってもらったあと、意味もなく真新しいチェアに座り目を閉じる。すると恭平くんの甘い視線を感じるような錯覚に陥り立ち上がると、冷蔵庫を開けた。大したものはないか…明日作り置きもしないと…外食が続いたからね。明日やること多すぎる…私は夜の間に洗濯機を回した。 翌朝は10時にショッピングモールへ到着して、目当ての店へ直行する。到着までの車中でタペストリーはどんな布を選んでも作れると説明した。布を棒に挟んで飾れる飾り棒はマグネットで布を挟めるようになっていて、棒のデザインも様々だ。手拭いでもスカーフでも何でも飾れる。 「じゃあ、恭平くんは布を選んでね。私はラグを…」 「仕事放棄はんたーい。ゆうが選んで」 「…はいはい」 「はい、は1回」 「はいはいはいはいはいーっだ」 結局、このインテリア雑貨店で私のラグを買い、店を変えてマリメッコ生地を扱っている店で、見た瞬間に大きなインパクトを受ける程、濃淡のグリーン使いと木々のデザインバランスが神秘的でナチュラルな印象のものを大きい面用に選んだ。そしてグリーンと合うようにグリーンがかったブルーを基調に、湖畔や森林が抽象化された絵柄の大小のキッチンクロスを3枚選んでテレビの上にランダムに並べることにする。 「俺、今仕上がりが想像できない…そこがさすがだよな」 「私が空調の説明を理解できないのと一緒だよ」 それぞれに合う飾り棒も持って車に乗ると 「アイロンある?」 「ある」 「じゃあすぐ仕上げられるよ」 恭平くんの部屋に行く。 「やっぱり明るいね…この1枚でずいぶん落ち着くと思うよ。恭平くんは大きいのから全部にアイロン掛けて」 「はいはーい」 「はい、は1回」 「はいはいはいはいはいー」
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