揺れる者たち

4/41

8029人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
‘今日の重い荷物は活躍したのか?’ 「はい、大活躍でほぼ提案通りです。もう全て発注まで終えました」 ‘夕月が大活躍ってことだな。クライアントの必要とするものを前もって準備出来ていたってことだ’ 「初対面でなかったので準備はしやすかったです。湊さんはうちの現場?別?」 ‘玲ハウジングの現場。玲子さんの手がつけられない案件’ 「ああ…あの豪邸か…湊さんの仕事は今はあたため中?」 ‘どうしてそう思う?’ 「うちの仕事の割合が多いようだから」 ‘うん、多いな。人を感じられる建物の設計がやっぱり楽しいから。病院の設計をひとつ持っているけど春に仕上げれば間に合うから玲子さんの下請けをたくさん受けてる’ 「ありがとうございます、ふふっ」 ‘模様替えは出来たのか?’ 「ローソファーを処分して、ハイバックのパーソナルチェアとオットマンにしたらガラッと雰囲気が変わりました。オレンジがかったイエローで気に入って今も座ってまーす」 ‘見たい。写真送って。一旦切る’ プツリと通話が途切れて暗くなった画面を見つめ…写真?よくわからないけど言われるがまま、チェアとオットマンを一緒に撮って湊さんに送信する。間もなく着信があり ‘いい色だな。夕月が座って自撮りするのかと思ったらチェアだけだったけど’ 「座って撮ったらチェアが写らない…」 ‘だな。座面の広そうなのと背もたれの高さといいな’ 「そこ、お気に入りポイントです。恭平くんも買ったと思う」 ‘思う?一緒に買い物したんじゃないのか?’ ネット注文しているであろうことまで…土曜日のことだけ説明する。 ‘部屋に行ったの?どうだった?’ 「白」 ‘白?想定外の感想だな…壁もソファーも白、みたいな?’ 「ソファーはなかったなぁ…」 何となく昨日の日曜日のことまで話をすることになった。
/435ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8029人が本棚に入れています
本棚に追加