揺れる者たち

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「で、今年の夕月の策は?」 「クリスマス限定コフレ」 「化粧品?普通に誰でも喜ぶものじゃないか?」 「うーん…私はそうでもない」 理由がわからない湊さんが私を見つめ小首を傾げて理由を促す。 「絶対に自分が使わない色のものが含まれているし、外側のポーチもやたらとキラキラしていたりして使わないから、もらっても困る」 「そうなのか…僕はあまりわからないけど行ってみる?」 「うん。2つ見比べてみたいの。ギラギラポーチとモコモコポーチを出している2つのブランドを見比べて決める」 「ははっ、もはや中身は無視か?」 「中身も限定カラーとかで妙にラメラメのアイカラーなんかが入っていると玲子さんのテンションが上がるはず」 ネットで目を付けていた2つを見比べると 「さっきのは無駄にギラギラでスパンコールが手に刺さりそうでしょ?こっちのは無駄にモコモコでバッグの中でかさ張るよね?」 湊さんに同意を求めてこそこそっと伝えると 「無駄なプレゼントを選ぶ夕月のテンションが周りの女性客と違い過ぎて可笑しい」 彼が私の耳元でクスクス笑うからくすぐったい。 「あっちのギラギラポーチにする。中身も派手だし」 6色のアイカラーなんて私は使わないけど玲子さんは喜ぶはず。しかも赤いミニマスカラ付き。リップもくっきりカラーだし渡すのが楽しみだ。プレゼント用にしてもらってから湊さんを探すと 「夕月、終わった?」 店の前に彼が現れた。 「お待たせしました。終了です」 「ん、夕月にはこれ」
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