8029人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
「ゆう、ごめんな。俺、全然気づかなかったよ…林と斉藤が付き合ってるの」
「私も気づいてないのに恭平くんは気づかないでしょ?」
「なんか…夕月の大人な対応の連続が心配になるわ、私」
玲子さんの憐れみの視線を振り切るように
「大将、赤貝とヒラメの昆布〆をお願いします」
と注文する。
「旬のいい注文だ、夕月。大将、僕にも同じものをお願いします」
「美味しいお酒とお寿司に集中します」
「集中するのは夕月の得意技だからな」
「…30までにもう少し周りも見えるようになることを目標にしようかな…」
「そんなことしなくていいと思うけど?少なくとも必要なことは見えてるように思えるが?」
湊さんとの会話に恭平くんが入ってくる。
「集中力はゆうの強み、そのままでいいと俺も思う。それにしてもなぁ…ゆうと斉藤じゃ、誰がどこからどう見てもゆうの方がいい女ですよね?」
「今日もピンクだったわね…私、あの子の印象‘ピンク’しかないもの。立花電工さんでお茶を出してくれた時も‘ピンクさいとー来た’って心の中で思ってた」
玲子さんの言葉に私を挟んで恭平くんと湊さんが低く声を上げて笑ったのでビクッとすると
「ごめん、ごめん」
湊さんが私の背中をあやすようにポンポンしてから
「ああいう服装の人を見て夕月はどう思うの?色のプロフェッショナルから見て…どう?」
心地よいバリトンボイスで私に聞いてくる。
最初のコメントを投稿しよう!