揺れる者たち

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ふわふわした慣れない感覚を体か頭のどこかに抱きながら浅い眠りを繰り返して朝を迎えたけど、目覚めは悪くなかった。 今日は外出予定を入れていないのでスカートにしようかな…黒に見えそうなほど濃紫のコンパクトな丈感のカーディガンは浅いVネックなので全てのボタンを止めてセーターとした。そして同素材の膝下丈のハイウエストニットスカートを履けばIラインの出来上がりだ。 分厚いタイツに足を通しながら‘あっ’と思い立って、着替え終わると同時にスマホを持った。えっと…まず、普通に昨日のお礼… ‘おはようございます。昨日はリップと美味しい食事をありがとうございました’ で?ここまでで送るのは今まで通りだよね?とりあえず、送信。 ‘今、瞬間を作ってみました。今日は一日事務所の予定です。よい一日を!!’ もう一度、送信。ん?瞬間を作った宣言はおかしい?って…既読になったよ…まあいいか…湊さんなら失敗も許してくれるだろうから。purururu… 「おはようございます。湊さん」 ‘おはよう、夕月。夕月の朝に僕を登場させてくれてありがとう’ 「あっ…」 改めて言われると恥ずかしい。 「いえ…ご登場…ありがとうございました」 ‘あっはははっ…夕月、抱きしめたくなる可愛さだね’ 「…ぇっと…湊さん、お仕事頑張って…私、もう行かないと…」 ‘うん、ありがとう。今日1階で玲子さん紹介のクライアントと会う’ 「16時に予定が入ってますよね?今日は朝から玲子さんもずっと1階…4件アポあったと思います」 ‘夕月、階段気をつけて’ 「はい、お茶持ってうろうろですからね。気をつけます」
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