揺れる者たち

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朝の‘頑張って’とか‘気をつけて’というやり取りはいいものだと思いながら、昨日もらったリップオイルで唇を彩る。今日の装いが、黒に見えるといっても紫なのでリップの色には気をつけたいところだが…可愛い…定番色のピンクベージュより僅かにピンクだと思っていたが、つけてみるとそのヌーディーなピンクが我ながら私の肌色に合う。ピンクと紫も相性はいいのでもう一度色を重ねてから事務所へ向かった。 「おはようございます」 「「「おはよう」」」 今日は星本さんよりもあと、最後に出勤だった。 「すぐに下の暖房入れて掃除してきます。玲子さん、まずは9時半ですよね?」 「そう、職人2人と星本さんと。絶対に一人は早く来るけどね」 「ふふっ、いつも不思議ですよね~私も職人さんって20分前行動?って思ったことがあります」 「急がなくていいわよ。いつもの職人だから身内だし、掃除しててもいいから」 「了解です。とりあえず行ってきます。お湯だけポットに…あっ、明子さんありがとうございます」 「はーい。ゆづちゃん、下お願いね」 「お任せください」 階段を何度も行き来するのは疲れると言って明子さんは1階のことはノータッチだ。それでかまわない。私も1階で打ち合わせをすることはあるから、全く使わない明子さんが整えるより要領はいいと思う。役割分担というものだ。2階に戻ると 「ゆづちゃん、今日は事務所でしょ?こっちの作業は頼めるかしら?」 「大丈夫です」 「じゃあ、年賀状をお願いしていい?」 「わかりました。先にホームページの年末年始休業を上げてから取り掛かりますね」 「お願い。私は今から銀行と郵便局をはしごしてくるわ」 「はい、いってらっしゃい」 ということは、明子さんが戻るまで2階に一人の私は電話番をしながら年賀状印刷とお茶出しが今日のメイン業務で、残り時間で自分の請求書と見積書作成だね。
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