揺れる者たち

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まずは星本さんのリクエストで珈琲ではなく緑茶を4人に出す。一人の部屋でホームページの書きかえをして、メールチェックをするとメーカーから納期連絡や年明けのショールームへの招待などがいくつも来ている。メーカーは私に来て欲しいのではなくて、私にお客さんを連れて見に来て欲しいのだが、それはタイミングによるんだよね。メーカーもそれを分かっていて小まめにこうした案内を送ってくる。 必要なものにだけ返信してから、お客様住所一覧を開いたとき 「おはようございまーす」 「あ…おはようございます」 「ゆう、だけ?明子さんは?玲子さんと星本さんは下で見えた」 「明子さんは銀行に行ってる」 「そう。これ、郵送でいいって玲子さんと明子さんは言っていたんだけど、うちのミスだからお詫びとともに届けに来た」 「ああ、請求書の差し替えですよね?もうメールもらった時点で多分対応済みだけど、オリジナルを預かるってことでいい?」 「お願いします。謝っといて」 「うん、伝えます」 私が立花電工と印字された封筒を預かると、恭平くんはスマホを取り出す。 「見て、ゆう」 「うん?あっ、届いたんだ…もう座った?」 「座ったどころか居眠りした」 「ふふっ、座り心地いいからね」 「壁の様子がガラッと変わって落ち着く気がする」 「大成功だね、良かった」 「やっと住居らしくなったからか、昨日初めて人を招いたよ」 「わっ、すごい効果だ」 「今度玲子さんと来て」 「玲子さん、ビール担いで行きそうだよね。言ってみるね」 「ゆうも一緒にだぞ?」
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