揺れる者たち

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「うん、分かった。忘年会?」 「だな。ここの忘年会は?」 「無いよ」 「ああ、いつも新年会だったな」 「そう。恭平くんはいくつも忘年会でしょ?」 「いくつか…3回だったかな」 「恭平くんが一番忙しくて日にちが合わなさそう」 「あとで候補日を送る。パーティーは24?25?」 「25日」 「了解」 そう言ってスマホの時間を見た恭平くんは 「じゃあ、行くわ」 とドアに手を掛けた。 「恭平くん。遅くなったけど…ラグありがとう。いってらっしゃい」 「まだ気にしてたのか?買った時に聞いてるし、部屋に来てもらったし当然の報酬だろ?気にするな。もう言うなよ?」 フッと笑って出て行く彼を見送って、だんまりは謝れなかったな…と思う。でも恭平くんも何も言わなかったから、これで普通なのかな?わからない…気にしすぎ? そこでふと、以前、太一とケンカしたわけではないのに思い出せないような些細な理由で二人がプイッとだんまりになったことがあると思い出した。あの時は翌日の朝を待って二人が‘ごめん’って同時に送り合って、その夜は一品ずつご飯を作り合って‘ケンカもしてないのに仲直りだね’って一緒にご飯を食べてスッキリしたんだ…今頃何を思い出してるんだ、私は。
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