揺れる者たち

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明子さんと私が退勤する時には、まだ湊さんの打ち合わせは続いていた。 デスクワークだけだった今日は定時で帰ることにする。12月に入ってこの時間に部屋へ帰るのは初めてかもしれない。 「ただいま」 玄関の明暗センサーライトが点いていることを確認しながら呟きショートブーツを脱ぐ。手を洗い暖房をつけてお風呂を沸かす。コートを脱いで冷凍庫を覗き、作り置きの肉団子をポロポロと鍋に入れた。水を入れて火にかけると顆粒の中華だしを適当に入れる。残り野菜の白ネギ、人参としめじを加えた時にお風呂が沸いたので火を止めて春雨を入れて蓋をしておく。これでお風呂に入っている間に具材は柔らかくなるはずだ。 ゆっくりとお風呂に入り、出てくると再び鍋に加熱を始めて少しの醤油等で味を整え切り餅をひとつ投入する。最後にゴマ油を2滴垂らして…餅入りだけど中華っぽいスープを夕食とする。 まあまあ普通の味だね…白菜入りが好きなんだけど今日の残り野菜にはなかったから仕方ない。昨日のご馳走のあとだからこの一皿で今夜は十分だ。 食べている最中にメッセージを続けて受信したのでバッグからスマホを取り出して見ながら続きを食べる。家族と友人から年末年始の予定を聞いてきているのと、恭平くんから忘年会の候補日が4日送られてきていた。玲子さんは連続忘年会って言ってたけど私は日にちを知らないので、恭平くんのメッセージを転送しておく。そして恭平くんに ‘ありがとう。玲子さんも忘年会予定があるのでメッセージを転送しました。また連絡します’ と返信すると、すぐに電話があった。 ‘ゆう’ 「こんばんは、恭平くん」
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