未来は無限の可能性

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未来は無限の可能性

 20××年、超高齢化社会となった国では、若者を独居老人へ貸し出す制度が始まっていた。これは、住居費を節約したい若者と、防犯面から独居であることを避けたい高齢者を、人工知能によりマッチングさせる制度である。  防犯面から、若者の人となりは精査され、若者が貸し出されている期間は、廊下に監視カメラが設置される。勿論、プライベートなエリアには設置されず、あくまでトラブルが起きた際に、どちらの言い分が正しいかを判定する為の設置である。  高齢者側は、カメラの使用料を払い、若者が使う寝具一式を揃える必要がある。もし、客用布団が清潔であれば買い足す必要はなく、それを使用可能。  高齢者側は、使っていない部屋を有効活用しながら、若者が住むことにより、防犯面で安心度が増す。また、若者は住居費にかける費用なしに、部屋を使うことが出来る。  マッチング判定する人工知能は、学習が済む迄は政府からの補助金が出た。もし、人工知能の判定が間違っていた場合、次に繋げられる反面、マッチングされた側は不利益を被る。生活に関わってくることだけに、慎重さが求められた。だが、それ以上に必要性に迫られていた面もあった。  高齢者には、高い場所の掃除や電球交換、日常生活において細々とした出来ないことがある。そう言ったものも、貸し出された若者ならば、比較的楽に出来る。米や飲料、重いものの買い出しも、交渉次第で若者に任せられると言う訳だ。代わりに、高齢者から手の込んだ料理を提供されることもあり、若者側の食費節約になるマッチングもある。当たり外れはあるものの、両者の利害が一致すれば、若者の貸し出しは長期に渡った。
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