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「オレとベースの小原とドラムの湊は同い年、キーボードの斉藤とギターの長田は学年は一緒だけど歳は一個上。大学に入学してすぐに軽音サークル入ったんだけど、まわりはみんなコピーバンドばっかでオレは最初からオリジナルがやりたかったから合わなくなっちゃって、外でバンド組むからサークル辞めるって言ったら、じゃあ一緒にサークル辞めてバンドやろうって言ってくれたのが今のメンバー」
〝おまえの曲と歌良いと思う″、あいつらがそう言ってくれたあの日をオレはきっと一生忘れない。
「そうなんだ、いいね、そういう関係」
「バカばっかだけどね。まぁでも、あいつらと音出してる時が一番楽しいかな、今は」
「プロ、目指してるんだよね」
「あぁ、まぁ一応…」
「何でそんな自信無さげなの?」
「まぁ、そりゃ自信無いわけじゃないけど、はやい奴らは10代とかでインディーズどころか、メジャーデビューしてる奴もいたりする中で、オレらはインディーズにも届いてなくて、年齢的にもやっぱり焦りとかはあるし、ライブしてもなかなか客も増えないし…」
本音とはいえ、言ってて何か情け無いなオレ…。
「…誰かと比べても仕方ないって解ってても、何かと比べてみないと気付けない事もあるよね…。けどキミのバンドはライブのノリとか勢い重視するようなタイプのバンドじゃなくて、歌はもちろんだけど音色やアレンジとかにこだわり持ってやってるように見えるから、年齢はそんなに気にしなくても良い気がするけどな。歌が上手いとか演奏が上手いとか、そういう人は私の周りにもいっぱい居ていろんな人見てきたけど、オリジナルの曲を作れる人ってあんまり居なかったから、それだけでも凄いなって思う。何よりバンドは続けていく事が一番難しいと思うし、その点信頼できるメンバーと一緒にやれてるのは重要だと思うから、フロントマンがそんな弱気でどうするの、…なんて、何か私偉そうな事言ってるね」
「いや、その通りだと思う」
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