縁側のキューピッド

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目が覚めたお天さんの頬は濡れていて、ロンドの声がはっきりと耳に残っていた。 そう、昔むかし、お天はロンドに恋をした。 キューピッドは恋を知ってはいけない。 その掟を破ったお天は、転生できずに年老いた。 ロンドも、行方がわからないまま。 「どこにいる、ロンド……」 透明の矢を握りしめ、ロンドを想い涙した。 腰も膝も痛まない。 あれだけ忙しかったのに、お天さんにお知らせがない日が続いた。 「と、なると。この恋の矢は今までとは違う効果の矢かのぅ?」 最初は大切に扱っていた透明の矢を、何の変化もヒントもない毎日に腹を立て、少し乱暴に曲げてみた。 変化はない。 天啓とやらもない。 噛んでみたら、さすがにちょっぴり苦かった。 突然、甘い香りが広がる。 お天さんの耳に、ロンドの声が聞こえた。 「お天……僕、言ったよね?夢の中で大切な約束したよね?僕を探してって……もしかしたら……忘れてる?僕を探し出せるのは、お天だけだよ?自覚ある?」 大好きなロンドの声に、キョロキョロと辺りを見回すが、もちろんロンドはいない。 「探す?あ……あぁ、忘れる訳がない!そうじゃなくて、どうやって探せば良いのやら。全く見当がつかないんじゃ」 すっかり忘れていたお天さんだったが、しびれを切らしたのだろうロンドの声に、慌てて重い腰をあげた。
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