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第一話 『イタコの板子登場の巻!!』
『あのさ、昔行方不明の人とか、探してる人とかに逢わせる番組あったろ、ああいうのを店にしたのがイタコの板子さんの店なんだよ』
そう言ってチラシを一枚見せてくる。
『レンタルイタコの逢わせ屋』
というらしい。
概要を見ると、まるでどこかの塾のようだった。
(逢いたい人に逢わせます)
逢わせ率は、驚異の100%
…なるほど。
街頭調査か…
怪しい。
怪しいを絵に描いたように怪しい。
そんなイタコのレンタル、
レンタルのイタコさん、
まあどちらでもいいが、
とにかくそのイタコさんの、店に来た。
『千客万来』の看板。
ネオンサインがクリスマスツリーのように耀いて、
とてもイタコの店には、見えなかった。
イタコは、小学生だった。
針の穴に糸を通したこともなさそうな、
ヒラメとカレイの違いも知らなそうなガキだった。
『いらっさい、お客しゃんなの?』
舌ったらずだった。
おまけに、八重歯だった。
完璧。
そういう店ではない。
『あの…すみません呼んでもらいたい魂があるんですけど』
すると、目をキランと耀かせて、
小学生イタコは、
『いいよ、魂レンタル一週間で100円になりまーす』
思わずおもちゃを買い与えたくなる親心ならぬ他人心を抑えつつ、
『では、あのー、私の去年死んだ猫を…』
そう言おうとした瞬間に、
友人が、制止して、
『いや、こいつの、ダイスケの魂を探してほしいのが僕の依頼です』
そう言うと、
『めずらしい依頼だけど、いいよ』
そう言って、小学生イタコは、
現代的口寄せの準備をするというので、
総合病院の待合室での時間くらいに果てしなく
待たされた。
女の子には、いろいろあるのだ。
そして、『お待たせ』と言いながら。
鼻息を荒くしたわりには
格好は、ジャージだ。
ダサい。
『行くヨ』
と言って、
イタコに連れていかれたのは、
なぜか、有名な某カフェ。
お子さまは砂糖なしでは飲めないらしく、
親の敵のように角砂糖を大量にぶちこんだ
甘党も真っ青な、コーヒーだったものを、
飲みながら、
自分たちに、諭すように、
説明する。
『甘いものはね、清めになるんですヨ』
『はぁ』と言うほかなかった。
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