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同じ曲を何回も聞くと突然ヒアリング力が上がる
私はヒアリング力が弱い。
それがたとえ日本語であっても。
テレビ番組でも、ラジオでも、誰かと会話していても、何か言っているのはわかるが、なんて言ったのかの聞き取りが下手。ちょこちょこ言葉を聞き逃す。
録画番組の場合は何度も巻き戻しをするから、リモコンの10秒バックボタンは表示がすり減っているほどだ。実生活でもリモコンで戻せたらいいのにとよく思う。
もう少し聞いていれば前後の流れで「さっき聞こえなかった部分は〇〇と言ったんだな」とわかることもあるが、実際はその聞こえなかった部分が気になって気になって、その後の話が頭に入ってこない。
こんな感じで、毎朝見ている朝ドラのオープニング曲の歌詞も、なかなか入ってこない。教科書に載るような、速すぎないテンポとわかりやすい歌詞なら別だが、ちょっとでも巻き舌っぽかったり、英語まじりだったりするとお手上げである。
現在放送中の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のオープニング曲、AIさんの『アルデバラン』はわりと好きで、サビのあたりは、朝ごはんを食べながら脳内で歌っているが、冒頭部分はみそ汁をすすったり納豆をかき混ぜることに忙しく、歌詞をまったく気に留めていなかった。
がしかし。今朝突然、冒頭の歌詞が、一言一言私の耳に入ってくるという現象が起きた。
わかる……わかるぞぉ! と納豆をかき混ぜながら密かに感動したが、こういう現象は過去にも何度か体験したことがある。
和楽器バンドが歌うボカロ曲『脳漿炸裂ガール』でも同じ経験をしている。覚えたくて歌いたくて、歌詞を見ながら何度も何度も聞いたのだが、なかなか頭に入ってこず、自分のものにならない。鼻歌も雑すぎる。だけどこれもある日突然、歌詞がひとつひとつ聞こえるようになるのだ。鼻歌の精度も上がる。
きっと耳が慣れたのだろう。「アスリート1万時間の法則」のように、一定回数聞きまくると耳の能力のステージが上がるのかもしれない。『カムカムエブリバディ』の場合、母が昼にも見たがるので、我が家では1日2回は『アルデバラン』を聞いている。
英会話など語学の修得もつまり、こういうことなのだろう。たくさん英会話を聞いて耳を慣らす。そしてあるときふと、わかるようになる。
歌が上手い人は英語の発音がいいらしい。ドリカムの吉田美和さんもそうだし、美空ひばりさんもそうだったと聞いたことがある。耳がいいから正確に聞き取り、歌うように正確に発音することができるのだろう。
ということは私の場合、歌詞が聞き取れない、つまり耳の能力が低い、ということで。音階も正確にとらえていない可能性がある。たとえ正確に発声できる能力を持っていたとしても、聞き取るのが正確でなければ威力は半減するだろう。
私はあやふやに聞いた音を参考に、運転しながらご機嫌で歌っているというわけか。うん、上手く歌えている気がしない。
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