雨あがる

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どうしてここにいるんだろう私…… 昨夜の雨がいつもの通る道の木々から緩い風に追い出される様に落ちて来る。それを避けるために歩いた歩道の真ん中にある水溜まりに映る自分に向かって呟いていた。 ビシャッ! その水溜まりを気にも止めず走り去るスニーカーが見えた。 「キャッ!」 「あっ!わりぃっ!」 「なんなん?早瀬君!跳ねたんですけど!」 早瀬君は振り向いて「水木さん、何だか声かけちゃ悪いかなと思って……。あっ汚れちゃったね。ごめん」 早瀬君は肩にかけたリュックから青いタオルを差し出した。 「拭いて」 「えっ?……このタオル……」 「遅刻しちゃうよ?先に行って水木さんのも出勤入力しておくよ」 そう言った早瀬君の目と青いタオルを交互に見た。 全てが繋がった時だった……。
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