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家に着き二人でキッチンに立ちすき焼きの準備をした。何でもない事が楽しい。
「美味しい!あの子達にも食べさせてあげたいなあ」
「あの子達って施設の子?」
「そう、施設では私が一番上だったから食事の用意はいつも手伝っていたの……そう言えば話してなかった」
「ん?何を?」
早瀬君は卵をかき混ぜながら私を見た。
「私ね、夜喉が乾いて食堂に行った時、施設長が話しているの聞いちゃったの。同じ日に施設に来てお金持ちの家に引き取られて幸せになってる子がいるのに、綾には苦労かけてしまってって言ってた」
早瀬君はだまって肉を足している。
「でもね、私はそれを聞いて決めたの。私は私のやり方で私しか出来ない事で幸せになってみせるって」
「綾しか出来ない事ねぇ……もうしてるじゃん!俺の彼女!」
「そっか!」
食べながら早瀬君が話し出した。
「綾、サプライズの予告していい?」
「えっ?予告したらサプライズじゃないじゃん」
「実は、綾にふたつお願いがある。それを明日と明後日でお願いするから」
「ん?なんか怖いけど……わかった」
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