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事が済み、みんなバラけて行った。
ホールに残されたのはいつもの4人。
百合さんの顔が蒼白だ。
「何で?何で綾が?」
早瀬君が百合さんに近づき話しかけた。
「百合さん、実はわが社の顧問弁護士は祖父の代からの付き合いで、そろそろ引退するんです。良ければ次の弁護士さんをご紹介いてだけませんか?」
「へっ?いいの?」
「はい、是非」
「でも、私より20歳上なんだけど」
「「「え~っ!」」」
「だってお金持ってんだもん!」
リオさんがあちゃ―っとおでこに手を当てている。
「百合、いつか言おうと思ってたんだけど……母に聞いたの。昔ね『女は器量が良いだけで幸せの半分を手にしている』って歌があったんだって」
『…………』百合さんは無反応だ。
「でもね、半分は半分。後の半分は中身。中身が良ければ見た目も良く見えて来る。でも中身がなければいつまでも半分でしかない」
「だから?」
「だから見た目だけじゃなく中身も磨こう?幸せになるために……綾みたいにね?……だから『おめでとう』って笑顔で言おうよ」
「綾、早瀬君。おめでとう。お幸せに……」
百合さんはばつが悪そうに、でも笑って言葉をくれた。
「ありがとうございます」
私は心からお礼を言った。
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