雨あがる

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*** 私はあの話しの頃から、早瀬君はただのフリーターではないのかと思えて来ていた。 何処かで会っている? 何処かで見た目……。 そして今日、あの青いタオルを渡された時に繋がった。 つかえていた「ありがとう」を言わなくちゃ! 1日が長かった、あのタオルを受け取ってからずっと早瀬君の事を考えていた。 仕事が終わり、裏口で早瀬君が出て来るのを待った。 「綾、帰らないの?」 百合さんと、リオさんに声をかけられた。私は何も考えずに早瀬君を待っていると言ってしまった。 裏口の扉が開いた。 「あれ?綾さん。どうした?」 「これ、洗って返すね」とタオルを見せた。 「その顔は……思い出してくれたんだ」 私は涙を堪え、必死に声を出し 「あの時は、ありが……えっ?」 早瀬君の腕が私を包んだ。 「ごめん、始めはこんな気持ちなかった……でもいつの間にか好きになっていた」 「ちょ、ちょっと待って…始めはって?」 「あの雨の日、綾さんを見て可愛い娘だとは思った。でもそれだけだった。それからまた会えて、綺麗になってて……で、一緒に仕事して……綾さんが言うありがとうの響きが好きになってて、そして今は綾さんの事が好きになってて」 「えっ?」 「気づいてほしくて、いつかこのタオル渡したくて、わざと今朝……」 急にそんな事言われてわけがわからなくなってしまったけど、一生懸命に話す早瀬君が何だか可笑しくて笑ってしまった。 「えっ?今笑うとこ?」 「ごめん」 「俺じゃ駄目かな?」 「いいよ!仲良くしよ!」 私は嬉しくて早瀬くんに飛び付いた。
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