突然のお別れ

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戸棚にポツンとあるブルーの琉球グラスを見た途端、足の力が抜けた。 そこに崩れ落ちた。手の震えが止まらない。 心臓の辺りから、悲しみのグーーーーーーっという叫びが上がってくる。 それを声に出さないように歯を食いしばる。 けどもうナイアガラの滝は誰にも止められない。 顔が失敗した折り紙みたいに音を立てて歪み始めた。 ううううううぅ ミアは泣き始めた。 亡霊になった自分がそれを上から見ている。死んだみたいだ。 さっきまでサクサクと荷物をまとめていた女優はどこへ消えたのか。 ー脳が心に負けた。 ユヌは全然止めにこなかった。 ーユヌは本気なんだ。ユヌを失う。そうわかるとミアはもう動けなかった。 そんな惨めなミアの丸まった石みたいな姿をユヌは後ろから見ていた。 少し後ろに立つ背の高いユヌ。その表情からはどんな気持ちか読み取れない。 その日のユヌもその胸筋で張りのある白いティシャツから、太くて長い首筋を堂々と木の幹のように覗かせていた。その顔立ちも肌も骨格も筋肉も髪の毛も、美しい青年だった。
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