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出会い
「部屋ちゃんと掃除しときなさいよー」
「わかってるって!」
はぁ…明日からやっと夏休みだってのに。
ミアが大学に入って初めての夏が来る。入学やら新しい事ばかりのソワソワした春を終えてギンギンとした夏が来る。
カランと氷が音を立てる麦茶が楽しみな季節だし、ゴキブリが怖い季節でもある。
ミアはだらけたカラダをグニャリと起こして、渋々転がっている漫画や服を片付け始めた。
なんだってうちが大学にくる交換留学生なんか受け入れるのよ…めんどくさ。
ママってお節介というか世話好きというか 張り切り屋なんだよね、ちょっと。
「明日ソウルから羽田に13時頃到着なのね。お父さん、車だせるわよね!?」
「ハイハイ」
パパは静かに答えた。静かなおっとりとした人なのだ。
明日、日本語と教育学を学びに韓国から留学生がやってくる。
名前は
「イ・ユヌ」
彼自身からミアの家に届いた手紙にそう書いてあった。
丁寧な日本語で挨拶やお礼の言葉が並べられてある。
「へー 達筆だなぁ。きっと頭の良い子に違いないなぁ。」
パパはなぜかニコニコしながら言った。きっと家に男子が来てくれて嬉しいのだろう。
「キムチとか用意しといたほうがいいのかしらね!?」
ママもまるで息子が帰省してくるかのようなワクワク感を醸し出している。
「てかさ、うまくやっていけるのかなー」
ミアはそれだけが心配だった。
そしていよいよ彼がやってくる日の午後
「到着したぞー」
パパの声でミアはドタドタと二階の自分の部屋から玄関まで一気に駆け降りた。なぜか焦って心臓が高鳴っている。
「、っとっと 、え 、 ぎゃー〜ーーーー!!」
階段で足がもつれた。まさかだ。
そのままどーーーーーーんと何かに当たりストップした。
たくましい二本の足が見えた。見上げるとそこには身長の高い青年が立っていた。
「ケンチャナ?」
そのたくましい腕がサッとミアを拾い起こした。
白くて血管の浮き出たマッチョな腕に釘付けになりながら
「ありがとう…テヘヘ」
ミアは敗れたスカートを手で隠した。
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