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第2話 同窓会当日
昨日、薬を飲んだ。
朝、心なしかいつもより気分がいい。まだ5時半じゃないか。せっかくだから早起きして物事をやろう。
服を着替える。スーツにすべきか私服にすべきか。同窓会なんだから私服にしよう。どんな服にしようか。よし、たまたま気が向いて買った黒字に白抜きで"Lovely Day"と書かれたパンク風のTシャツにしよう。下はデニムで...っておい、僕、もう積極的になってるのか!? うん、今日は何でもできる気がするし、、何でもしたい気分だ。せっかくだからネットでレシピを見ながら凝った料理を作ろう。かと言って、あまり豪華な料理はやめよう。同窓会で食べれるだろうからな。和風ツナマヨおむすびにしよう。なんだ、和風ツナマヨってごはんを炊き込みにしなくても、だしと醤油と混ぜればいいレシピもある! 意外と簡単だな♪
朝ごはんを食べ終わって、いいリズムで歯を磨く。
会場に着くと、ドアを開けるなり人々のにぎやかな声に迎えられた。
「おっ、田中じゃんか!」
清瀬が僕を見つけて手を挙げる。
「清瀬! 元気だったか?」
「おう! 元気だよ。それにしても会社入ると生活激変だな。お前は何やってんの?」
僕は...引っ込み思案な性格のせいで1つの仕事が長く続かな...
「今、前よりもっとやりたい仕事があって転職しようとしてるんだ。まだなんの仕事かは秘密だけど」
え!? 今、口が勝手に...
「へえ、お前、なんか変わったなぁ」
僕を見る清瀬の表情が微笑ましそうだ。
それから僕はたくさんの懐かしい顔に積極的に話しかけた。懐かしい顔、僕がそう思うのも不思議だ。本来の僕は、昔から目立たず生きていたいほうだから。
「田中く~ん!」
名前を呼ばれてふと見ると、清楚な白いレースの服に長い黒髪、面影のあるクリクリとした目。僕の胸は高鳴った。昔からひそかに好きだった
「麗ちゃ、泉さん!」
「イヤだ。田中くん、水くさい! でも考えてみれば、田中くんに名前で呼ばれたこと、あまりなかったね」
僕と麗ちゃんは話しているうちに意気投合し、その日から付き合うことになった。
つづく
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