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第4話 それから
「公平くん、これ買って」
「あっ、やっぱこれ」
「え? もうレジじゃないか」
「戻してきてよ!」
確かに麗ちゃんは1日経ったらわがままになった。いや、本来の性格に戻った。それは僕が耐えられないほどになり、僕たちは別れた。でも、友達関係は続いている。
ある日、街で
「あの、田中くん? 田中公平くんだよね」
体格が良くて豪快そうな女性から声をかけられた。
彼女は豪原(ごうばる)静子さん。同窓会のときにビールを飲んで悪酔いしていた。
「あっ、ごっ、豪原さん...」
同窓会の時のイメージがチラついて、僕は思わずたじろいでしまった。
でも実は、それから僕達は気が合い、付き合っている。
学生時代の彼女は見た目とは違い、静かだった。
その彼女が同窓会の時、酒豪だった理由は...
「私ね、性格レンタルしてたの。ハメをはずしたくて『豪快』と、クセのある『酒癖が悪い』。 ごめんね、びっくりしたでしょ。あの日はみんなに迷惑かけたけど楽しかった」
おわり
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