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この地に人が吸い寄せられるように集まってきたことも、巫女としての立場によって安定した捕食ができるというのも奴らにとって好都合だった。油断してるのさ。
宿主のあんたがまだ話せるぐらいに生きられていることは、奴らが重宝していることに他ならんだろう。もしあんたの命が潰えれば、その時はこの地の多くを屠り、巣を変えるはずだ」
「そう……そんなことがこの世には、あるのね。やっぱり私のせいでミスズも村の人も……取り返しのつかないことをした。
人を苦しませ、騙し、殺し。きっと、私の心に巣食ったんだ。自分も人々を導く特別な何かになれるなんて、傲慢にも思っていたから。その卑しい心が引き起こした……」
イヅナの無を感じさせる頬には水が流れた。まるで梅雨時期の雨垂れのように。
「私の命は……もう少ない。死んでしまうと村は食われる。なら、どうすれば――」
「あんたも村の者らも助かる方法はある」
「……それは本当に?」
「ああ。ただ、強く癒着しているだろうから、あんたの身体の何かしらは持っていかれる。それが何かは、やってみるまで分からん」
「構いません。もし、それが叶うなら……」
そしてイヅナは、書架を見渡し静かに言う。
「ちょうど、このほど薬の調合と薬草の姿形を纏め整えたところで。
よくここへ来るヒナという娘には、薬のことを特によく教えた。きっと、この先受け継いでくれるでしょう」
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