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夜21時。見事な夜景場所に案内されて、そこで告白される。
でも、断った。
だって私は死んでしまうから。
ここで了承して、そのあとに私が死んだら彼はきっと悲しんでくれる。でも、私を大切に思い、他の女性との恋愛は絶つだろう。
そんなのは嫌だった。
好きな人の人生は、好きなように歩んでほしい。
私に縛られてちゃ、ダメ。
でも、私が今日死ななければ…。
いや、考えても無駄だろう。私は、死ぬ。
彼は心強く私を家まで送った。
ふと、子供の声が聞こえる。
しかし、楽しそうな子供の声を上回る母親の悲鳴のような声が、静かな住宅街に響く。
向こうから、大きなトラックが走ってきていた。
子供が気付いた時には、すぐそこに、トラックが来ていた。
私は、躊躇わなかった。
子供を精一杯押しだす。
トラックの大きさの範囲から外れる。母親が駆けつける。
様々な人の悲鳴と共に、意識はそこでなくなる。
これが、死か…。
なーんだ。走馬灯とか、全然ないじゃん。
「最後の人生、どうやった?」
ふと、狐の声が聞こえる。
私は、自信をもってこう言うのだ。
「——刺激のある、良い一日だった。」
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