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厳しい言葉だったが、その通りだった。
どうしてだろう…。夢なのに、ここまで恐怖を感じて、狐にお説教までされて。
こんなはず、こんなはずじゃないのに。
「——でもな、神様だったら、どうや?」
かみ、さま…?
唐突に出てきた非日常な単語に、顔を上げてしまう。
狐はにやりと、笑っていた。
「お前さんはこのまま死んだら身勝手に世界を呪ってから死ぬことになるねん。そんなことしたら、世界で循環している運が狂う。そんなときこそ、神様の出番や。」
自慢げに話しているこの狐は、一体何を言っているのか。
呪いがどうの、運がどうの、神がどうの…。
何を、言っているんだ…?
「ホンマは神様もこないなことしたくないはずやねん。でも、しゃーないねんな…。それが、神様としての定めなんや…。」
何か涙ぐみ始めたぞこの狐…。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何!? え、神様がどうのって、何なの! もう、止めてよ…。冗談、きついからさ…。」
へなへなと座り込む。
しかしそんな様子を見た狐が、呆れたように物申す。
「だから冗談やないゆーとんねん! 何回言ったら分かんねん! お前をこのまま放置しといたらこのつまらない世界を呪って死ぬっちゅーねん! それがまずいから、神様が行動してくれてんねん! つか、まず話を聞け!」
今までで一番大きな声だったもので、かなり驚いてしまった。
一瞬の沈黙の後、狐が声を落として淡々と話し出す。
「…とにかく、明日目覚めたその日中に、お前さんは死ぬ。やけど、そのまんま死なれたらあかんっちゅーねんことで、神様が特別にその一日お前さんに付き添ってくれんねん。とはいえ神様だってお姿を見せたり、言葉を交わしたりはせーへんよ? 神様が、その日は、お前さんの思い通りになるようにしてくれんねん。」
神様が、付き添う…?
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