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「……おっかねーじいさんだな」
1人取り残された部屋で思わず愛想笑い。じじいと卑下する割に、とんでもない気迫を見せるじゃないか。
一連の会話で考えは大方まとまった。
犬洞さんの言葉が上手くはまった形だ。偶然か意図的か、後者なら中々食えないじいさんだ。
こちらの計画には人数が要る。時計は午後4時を回ろうとしている。
「ぼちぼち帰って来るかな」
呟くとほぼ同時に階段を上る複数の足音が聞こえた。いいタイミングだ。
部屋を出て廊下の先には水原と七瀬。俺に気付くと小走りで駆け寄って来た。
「ただいまー。頑張って探したけど見つけられなかったよ」
水原からの成果報告。森の深いところまで入ったのか2人共服に落ち葉の欠片が張り付いている。
「ハル先輩崖から落ちそうになるし、ほんと疲れました」
心無しか七瀬がやつれて見える。お勤めご苦労様でした。
「あはは、ごめんごめん」
後頭部を撫でて謝る水原。
「尋君はどうしたの?」
「ああ、ちょっと話が、って五十鈴は?」
「月子ちゃんともう少しお話しするって言ってました」
「へー、五十鈴がねぇ」
年も近いせいか妹さんと仲良くなれたんだな。そりゃよかった。
この際五十鈴は抜きでいいか。難しくもないし、あいつがいるとややこしくなる可能性もある。
「それで、話って?」
水原に促され、俺は咳払いを挟み、
「実は2人に協力してもらいたいことがある」
「私達に?」
「協力ですか?」
首を傾げる水原と七瀬に今夜の計画を話始めた。
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