08_それぞれの思惑

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 「……おっかねーじいさんだな」  1人取り残された部屋で思わず愛想笑い。じじいと卑下する割に、とんでもない気迫を見せるじゃないか。  一連の会話で考えは大方まとまった。  犬洞さんの言葉が上手くはまった形だ。偶然か意図的か、後者なら中々食えないじいさんだ。  こちらの計画には人数が要る。時計は午後4時を回ろうとしている。  「ぼちぼち帰って来るかな」  呟くとほぼ同時に階段を上る複数の足音が聞こえた。いいタイミングだ。  部屋を出て廊下の先には水原と七瀬。俺に気付くと小走りで駆け寄って来た。  「ただいまー。頑張って探したけど見つけられなかったよ」  水原からの成果報告。森の深いところまで入ったのか2人共服に落ち葉の欠片が張り付いている。  「ハル先輩崖から落ちそうになるし、ほんと疲れました」  心無しか七瀬がやつれて見える。お勤めご苦労様でした。  「あはは、ごめんごめん」  後頭部を撫でて謝る水原。  「尋君はどうしたの?」  「ああ、ちょっと話が、って五十鈴は?」  「月子ちゃんともう少しお話しするって言ってました」  「へー、五十鈴がねぇ」  年も近いせいか妹さんと仲良くなれたんだな。そりゃよかった。  この際五十鈴は抜きでいいか。難しくもないし、あいつがいるとややこしくなる可能性もある。  「それで、話って?」  水原に促され、俺は咳払いを挟み、  「実は2人に協力してもらいたいことがある」  「私達に?」  「協力ですか?」  首を傾げる水原と七瀬に今夜の計画を話始めた。
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