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「それ以上本気になるのはまずいですよ!警察飛んで来ますよ!」
羽交締めを受け進む足が止められる。
「離せ折坂!こいつら宇宙飛行士になりたいんだってよ!」
「言ってないから!やばい目しながら額に見たことない筋浮かべて何言ってんすか!お前らも早く逃げろ!もう2度と関わるなよ!」
「は、はいぃ」
「あっ、こら!逃げんな!」
俺の呼び止めも虚しく、3人組は地を這いながら逃げ去ってしまった。
くそっ、せめて殴ったやつだけは!あいつだけは一番星に変えてやりたかった!
疲れ切った顔で折坂は額の汗を拭う。
「校内で殺人事件起こすなんて勘弁して下さいよ」
「誰がするかそんなこと。それより俺2発ぶたれてるんだぞ?折坂ならどうするよ?」
「俺ならその場で血祭りですけど」
「同じじゃねーか」
人が激怒している姿を見ると自分は冷静になれる現象か。マジギレしてるじゃんって引いちゃうんだよな。
折坂と喋っている内に怒気は収まった。でも問題はまだ片付いていない。
今しがた逃げた3人組に囲まれていた男子生徒。しかし、恫喝されていた場所に目を向けるも誰もいない。
騒ぎに乗じて逃げたのか。いい判断だなと思った時、
「す、凄い!やっぱり噂通りだ!」
「うわっ!?な、何が!?」
死角から大声が飛んで来た。
男にしては長い髪に黒縁の眼鏡。細身な体付きで学ランではなくワイシャツの上には黒のスクールベスト。
意外と目力があるが、眼鏡と前髪でほとんど目立たない。ただ、ヒーローアクションを見た子供のようにキラキラ輝いていた。
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