01_プロローグ

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 「ちょっと待ってて」  デスクにスマホを置き、デスクトップパソコンを素早く立ち上げる。  パスワード付きのフォルダを開き、引き継いだ仕事の内容に目を通した。  「あったあった。人材派遣って聞いてたけど、合ってる?」  『あぁ、間違いない』  「じゃあ、私の部下を……ん?」  画面下に記載されていた詳細情報。その一部が夏目の目に止まる。  「へー、これはこれは……」  興味深そうに眺め、人知れず夏目は笑みを浮かべた。  「依頼は正式に承るわ。日が近くなったらまた連絡を頂戴。それでどう?」  『構わない。ご協力感謝する』  短い言葉で礼を残し通話は切れてしまった。  無愛想な通話相手に無言で画面を眺めるも、すぐに気持ちは切り替わった。  「ま、日数はまだ余裕あるし動くのは後でいいでしょ。とりあえず今はコンビニ優先!」  デスクライトを切り、部屋を後にする足取りは軽い。一時は邪魔が入ったがその分解放感は増していた。  11回建てのビルから明かりが消える。表向きは誰もいない朝を待つだけのビルとなった。  宿り身の拠点であるビルは今日も静かに世界を見守り続ける。
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