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第三章
出港して二日後、クルーズ船は無人島に到着し、乗客はそれぞれ離れたところにある割り当てられたコテージに向かう。
無人島の海岸はマリンブルーにきらめいていて、白い砂がまぶしく光り、空に向かってヤシの木々が青々とした葉を繁らせている。
滝本と七瀬は乗客の最後にクルーズ船を降りた。
滝本は横を歩く七瀬に声をかけられて、足を止める。
「あなたは私のこと、いつも想ってくれた。『自分に力になれることがあれば、力になりたい』『恋したう気持ちというよりは、慈しむ気持ちをいだいている』『大丈夫、七瀬さんに危険はない』『でももし確実に予想できるとしたら、誰かに利用されてしまうだろう』」
「そして、私のことを『予知能力者だと考えてドキドキしていた』けれど、そうじゃなかったのよ」
滝本は七瀬の言葉から、すでに彼女の能力を見いだしていた。
「つまり、あなたは予知能力者ではなくて……」
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