第三章

1/2
前へ
/7ページ
次へ

第三章

出港して二日後、クルーズ船は無人島に到着し、乗客はそれぞれ離れたところにある割り当てられたコテージに向かう。 無人島の海岸はマリンブルーにきらめいていて、白い砂がまぶしく光り、空に向かってヤシの木々が青々とした葉を繁らせている。 滝本と七瀬は乗客の最後にクルーズ船を降りた。 滝本は横を歩く七瀬に声をかけられて、足を止める。 「あなたは私のこと、いつも想ってくれた。『自分に力になれることがあれば、力になりたい』『恋したう気持ちというよりは、慈しむ気持ちをいだいている』『大丈夫、七瀬さんに危険はない』『でももし確実に予想できるとしたら、誰かに利用されてしまうだろう』」 「そして、私のことを『予知能力者だと考えてドキドキしていた』けれど、そうじゃなかったのよ」 滝本は七瀬の言葉から、すでに彼女の能力を見いだしていた。 「つまり、あなたは予知能力者ではなくて……」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加