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一.
「ねぇ、ミユ!今日こそはあたしたちがはっきりと吉井のやつに言ってやるわ!」
「あいつ、ちょっと調子乗りすぎよ!またトリノ君とベタベタしちゃってさ!」
友人の穴井真莉と水木倫子が、教室の後ろをチラチラとにらみ付けながら私にささやく。
視線の先には、マスクをしていても誰にでもわかるぐらいの、学年トップクラスのイケメン男子である八十島斗李野君が、仲のいい男子たちとこづきあいながら楽しそうに笑い合っていた。
そしてその男子の輪に一人だけ、スカート姿の背の高いショートカット女子が混じっている。
彼女、吉井琴座は、男子と同じくに笑いながら、時折トリノ君の肩をグーパンしたりして、そういう姿は確かにずっと鼻についていた。
なぜならそもそも、
「ミユの方がトリノ君のことずっと好きだったじゃん!」
「受験の日からだもんね!それをあいつ、なんかこれみよがしにトリノ君につきまとって、ふざけんじゃないよね!」
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