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「一緒に入ってた人・・・!?」
一紫の身長は198cmだった。
───でも、どうしてあの人が身長を低くしようとするんだろう?
「ちなみに-の券の人が一人で+の券の人が二人なら半分の高さずつ借りれる。逆に-が二人で+が一人なら二人から半分ずつ借りれる。『ねっと』で貸したい人と借りたい人が連絡を取り合ってここに来るらしい。当人同士に金のやり取りは発生しないが。」
「どうすれば元に戻れるんですか!?」
「身長の貸し借りをした人ともう一度湯に浸かればいい。」
「えええっ!?」
「一泊二日のレンタルだから明日中にな。当人同士で翌日の何時と決めてまたここに来ることが多いが、ここじゃなくても一糸まとわぬ姿で全身が浸かれるところだったらどこでもいい。」
「もし入れなかったら!?そのままの身長になっちゃうとか!?」
「いんや、あくまでもレンタルだから延滞料金が発生する。」
「お金ですか?」
「いんや、あんたの場合一日ごとに+した分縮む。最初は-30cmだから元に戻るだけだけど次の日には元の身長から-30cm・・・。」
「そのまま返せなかったら・・・?」
「消えてなくなるね。」
「えぇ~っ!!」
「貸した方は相手が消えるまで身長が伸び続ける。返却しない限り再びレンタルすることもできない。」
声も出せずに崩れ落ちるしかなかった。
おばあさんにお礼を言って温泉を後にした。項垂れて帰っていく私の背中を見て彼女がニヤッと笑ったことなど私が知る由もない。
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