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それからは速かった。
光の速さだった。
「なんで早く言わないのよ!!」
佐々はその場で110番、うろうろする僕を「目障りだから動くな」と席に座らせた。
すぐに警察が来た。佐々にどつかれながら説明する。
「なんで早く通報しなかったんですか」と警察官にも言われた。当たり前か。
「事の経緯はわかりましたけど、今後は警備会社に回収頼んだ方がいいんじゃないかな」
テキパキした警察官は僕が店長、佐々が副店長だと聞いて最初目を丸くしていた。
「そうなんですよ。もうこれを機に契約します。まったくマスターはやること遅いんだから」
「ちなみに、なんで通報前にまた出かけたんですか?」
「馬鹿なんです。馬鹿店主なんです」
ついに馬鹿店主になってしまった。
最後に防犯カメラの映像を回収して警察官は去った。佐々には「さっさと帰るわよ。私、別日に休みを振り返るからその分は馬鹿店主が働け」と言われ、強制的に店を閉めさせられ車に乗せられマンション前で放り出された。
僕はしょぼくれて自室の鍵を開けた。
ベランダに出る。
月が出ている。
通報しちゃったなぁ。
誰か、捕まるんだろうなぁ。
やだなぁ。
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