だらだら店主のためらい

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 1週間後。火曜日。  ドアベルがカランコロンと鳴った。 「いらっしゃい……って長谷川君か。  今日は定休日だよ」 「いらっしゃいって言ったじゃないか。  場所借りるよ」  反射的にお湯を沸かしてしまった。探偵は紙袋をガサガサ言わせてテーブル席につく。 「で、犯人捕まったの?」  ドリッパーに湯を注ぐ僕の手が止まった。  店内が静寂に包まれる。 「僕、売上が盗まれたこと言ったっけ」 「警察官が出入りしてるし気づくよ。パートさんも教えてくれたし」 「そうなんだ」 「先週、マスターの挙動もおかしかったし」 「え」 「いつもは本読んでぼうっとしてるけど、やたらスタッフルームの方気にしてた。  あっちに金庫あるんでしょ」  気づかれていた。  観念した私は、事の真相を話し出す。
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