だらだら店主のためらい

　それからまた、日々は過ぎ。
　スタッフとお客さんが窃盗事件にざわざわしていたのも落ち着いた。　

　今日の店内は半分くらい席が埋まっている。本を読む僕の横を通り、スタッフがサンドイッチやケーキセットを運んでいく。

　うん、平和が一番。

　僕はあくびを一つする。
　このままだらだら過ごしていきたいな。

　まぶたが閉じかけたところに、スタッフから声がかかる。

「マスター、ドリップ３つ！」

　僕はやれやれと立ち上がった。

　喫茶店『メトロポリタン』は今日もいつも通り営業中。
　もじゃもじゃマスターは、スタッフの気まぐれで今日もとびっきりのコーヒーをお淹れします。