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翌日、レミに朝食を食べさせた後、湯浴みをさせ、僕が小さい頃に着ていた服をレミに着せた。
王族が着る、金刺繍の入った純白のコート。それを着るとまるで、王宮で生まれ育った生粋の王子のように見えるのだから不思議なものだ。
集まった大臣や従者たちが、レミの愛らしい姿にとろんと目尻を下げる。
「レミ様は陛下の幼い頃と瓜二つですよ。まるであの頃に時間が巻き戻ったような気がします。どうも老い先が短いと涙もろくなりますな」
レミの家庭教師をお願いしたコルベール先生は、そう言って皺深い目尻を拭った。
さっそく王宮を探検したいというレミの後を、世話役や教育係らがわいわいと追いかけていく。レミがいるというだけで、王宮内にぱっと明るい活気が戻った気がした。
祖父もレミの物怖じせず利発なところが気に入ったらしい。最近は部屋に篭もりがちだったのに、剣の稽古の相手をしてやろうなんて言って俄然張り切りだした。
「レミを選んでよかったね」
ユリウスも元気いっぱいのレミの姿に目を細める。
「何だか本当に俺たちの息子のような気がしてこない?」
「息子というには大きすぎるでしょ」
溢れるような若いエネルギーを浴びたせいだろうか、自分たちが突然、歳をとったような気持ちがした。
「今夜はさすがにふたりで寝たいけど」
「それはどうかな。ああ見えて寂しがり屋っぽいしね」
案の定、それからひと月はレミと三人で寝ることになった。
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