181人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「ぐだぐだ喋ってないで、早く挿れろよ」
そう言い捨てると、筋肉質な腕が背中から俺を抱え込む。すでに固く立ち上がっていたそれは、熱を持った内側に難なく潜り込んだ。
「……あっ、はぁ……んっ」
ぴりぴりとした快感が、背筋を駆け抜ける。
俺の襟足にジェイドが顔を埋めた。首筋に落ちる、熱い吐息。
ジェイドに熱を感じるのは、あそことこの息くらいだ。
――レミ様。
さっきより少し余裕をなくしたその声が、俺の名を呼ぶ。
「……動いてもいいですか?」
「いちいち聞くな、馬鹿が」
いくら罵っても、ジェイドは決して態度を変えない。優しく、労るように、守るように、俺を抱く。
「んああっ……気持ちいい」
感じるままに言葉に出した。
このくらいのサービスはしてやる。俺が喘ぐと、ジェイドは喜ぶ。態度には出さなくてもそのくらいはわかる。
「ジェイド、もっと、奥に」
耳元に早まる吐息。背中に汗が落ちる。その頑なな冷静を失わせてやりたい。
「あっ、あっ、もっと、激しく、して、お願い」
――レミ様、もう。
絞り出すように名前を呼び、その腕が俺を抱え込む。
下腹部にぶわりと広がる熱い熱。ジェイドが達すると同時に、達した。大事なものを守るように、その腕がぎゅっと俺を抱え込む。
イッたあとの気だるい余韻を、その腕の中で過ごすのはけっこう好きだ。俺がぐっすり眠りにつくまで、ジェイドは俺のそばを離れない。
「可愛い。本当に、どうしようもなく。永遠に朝が来なければいいのに」
ジェイドはベッドの中でだけ、俺にそう囁く。
愛されている。それを知っている。
知っていながら気づいていないふりをして、その愛を利用する。
ジェイドもそれを知っている。
知りながら、ただ静かに、頑なに、叶わない愛を注ぎ続けている。
最初のコメントを投稿しよう!