53人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドの上で果林ちゃんは長い脚をじたばたさせて喜んだ。
「しーちゃん。エロくて良い声してる。今度わたしじゃなくて、しーちゃんが歌おうよ」
果林ちゃんはBLマンガの気に入ったシーンを僕に朗読させた。
気に入ったセリフを。
果林ちゃんが気に入るのは、線の細いテイストの絵のマンガで、朗読させるセリフは決まって告白のシーンだった。
くらくらする。
好きだって。
好きだから、反応しないはずの身体が君に反応しちゃって、疼いて、止められないって。
こんなに身体が熱くなっちゃうのは君のせいだって。
突然果林ちゃんが立ち上がった。
ベッドから出て僕の楽器部屋に入っていった。
どうしよう。気が付かれたかな。
もう完全に僕、オスに入っているんだけど。なんていうか、ギアが。
四角い重そうな箱を手に、果林ちゃんは戻ってきた。
「やっぱりあっちの部屋は寒い」
ばふっとベッドに飛び乗って、僕に抱きついた。
「しーちゃん。あったかい。しーちゃんってほんと良い匂い。ね。しよ」
このときの『しよ』を、後々僕はオカズにさせてもらいました。
それぐらいは、ね。
許されるよね。
最初のコメントを投稿しよう!