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「いいなあ」
一年生の十二月だった。
果林ちゃんは僕の部屋で、楽器に触ったり、僕のコレクションしてるBLマンガを読んで感心したりしてた。
ベッドに寝そべってタブレットでBLマンガを読みながら呟いた。
「ずっと好きでした、付き合ってくださいって、わたしも言われてみたい」
ガチのゲイビは筋肉祭りみたいで僕には合わなかった。
姉ちゃんが読ませてくれたBLマンガのほうが、合った。
ちょっとファンタジー過ぎるっていうか、簡単に両想いになれるなら苦労しないよっては、思う。
こんなタイミングでやられたら肛門科行きだなって思ったりもするし。
「果林ちゃん、付き合ってって言われたことないの?」
僕はあんまりびっくりして、ベースの弦に右手の人差し指の爪をひっかけてしまった。
ないよー、と果林ちゃんはさみしげに笑った。
「かわいいとか、きれいだねとか、言われるよ。でも、付き合ってくださいって言われたこと、一回もない」
年齢イコール彼氏いない歴なのだと、そのときに教えてくれた。
「わたし、高校までずーっと女子校だよ。女子校でも浮いてたけど」
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