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「老人ホームでの生活を杞憂していまして。」 「へぇ・・・えっ!」 「ご存じの通り、僕はこんな感じなので、恋人や家族を持つことはないと思います。となると、将来は独居老人となるわけですが、さすがに色々不都合が出てくると思いますし、孤独死も避けたいです。そうなると、いつかは老人ホームでの暮らしをすることになるのですが、24時間、集団生活という環境に適応できる自信がありません。」 「あの、えっと・・・え?」 「せめて、ゲートボールに混ざれるくらいにはならないといけないような気がするのですが、無理だろうなと。ですから、死んだらすぐ見つけてもらえるだけでよしとすることにしていました。でも、中野さんが僕と普通に仕事仲間になってくれたので、僕でも仲間を作れるんだと、妙な自信がつきまして。」 「な、なるほど。」 「でも、考えてみたら、僕は以前から何も変わっていないので、仲間になれたのは”僕でも”ではなく、”中野さんだから”なんだと気が付きました。それで、改めてゲートボール仲間はあきらめたわけですが、今日、大畠さんが僕と働く未来を少し考えてくれたのを見て、感動しまして。それも中野さんの存在が大きく作用していましたので、なんだかもう、中野さんすごいなと思ったんです。」 「う・・えっと、ありがとう、ございます・・?」 「それで、熱燗の力もあり、僕たちに大畠さんが加わった仕事風景をつい想像してしまいまして、あぁ、楽しそうだなぁと。今まで、考えもしませんでしたが、仲間っていいなぁと。そうしたら欲が出て、やっぱりゲートボール仲間をあきらめたくなくなったんです。それで、僕とですら仕事仲間になれる中野さんのようになれたら、僕もゲートボール仲間を作れるのではないかという思いに至った次第です。」 「ほ、ほぉ・・・なるほど・・・です。」
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