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 湊さんの家で帰りを待っていると、鍵を開ける音が聞こえてきたので、出迎えに行く。  玄関をくぐるようにして、ノソっと入ってきた湊さんに 「お帰りなさい。」 と言うと、じっと私を見下ろして 「ただいま。」 と小さな声で言う。  ん?拗ねてる? 首を捻って見上げていると 「なんだよ。」 と言われて  うん。拗ねてる。 と確信する。 「どうしたんですか?楽しくなかった?」 訊ねる私の横をすり抜けるように、湊さんが部屋に入り、上着を脱ぐ。 「湊さん?なんで拗ねてるの?」  チロッと私を見て 「拗ねてない。」 とボソッと呟くと 「風呂。」 と言って、浴室に行ってしまった。
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