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醤油と味噌をカウンターに乗せた。
「さっきの香ばしい香りは醤油だったんだ……じゃなくて! ドラゴンいるんですか?」
「ええ。繁殖期以外はあまりお目にかかれないレアな動物なんですよ。あなた達の世界で言うとそうですね。野良猫くらい」
ドラゴンのレア度に頭を悩ませていると、さらにお腹が鳴った。
「失礼しました。お料理を召し上がって頂きながら、この世界の事をお話しますね」
確かにお水だけではもう我慢出来ないくらいだった。
空に大きな動物の影が見え、窓際には見たことのない小動物がごそごそと花や葉を食べている。
「何あれ、カバ?」
カバは獰猛だと聞いた事がある。逃げようとする気持ちがみるみる萎んでいった。こんな訳の分からない世界へ飛び出して行っても、生きていられる自信は無い。大人しく料理を食べるしかなさそうだ。
「……料理、お願いします」
「かしこまりました」
シェフがキッチンで何かを洗っている音がする。何が出てくるのかドキドキしてきたが、運ばれて来た料理は案外見慣れた姿をしていた。
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