迷子とランチを

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「お待たせ致しました。食前酒と前菜のカバもどきのハーブサラダです。ドレッシングをかけてお召し上がりください」 「……がんもどき?」 「カバもどきです。ほら、窓から見えるでしょう?」  草を喰むカバのような動物が先ほどよりも増えている。 「もしかして、あの大きな動物のことですか?」  思わず声を荒げてしまったが、シェフは落ち着いた様子で微笑んだ。 「養殖しているんです。こちらでは、お肉といえばカバもどきと言うほどポピュラーな動物なんですよ。あなたの世界で言うと、豚や牛と同じです」 「な、なるほど」  確かに牧場にはレストランが併設されていることが多い。それと同じ感覚なのかもしれない。 「い、いただきます」  サラダに黄金色のドレッシングをかける。酸味のある食欲のそそる香りがした。何の植物だか分からないが、ロメインレタスのような柔らかい食感だった。恐る恐るカバもどきの肉を口にする。脂っぽさは無く、表面はカリッと中はふっくらと焼いてあるのがとても美味しい。 「美味しいです」
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