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それからすぐにボクはまた絵を描き始める。
白い雪の中を、真っ白なウェディングドレスを着たリーザが、こちらに向かって走って来る、そんな絵だ。
ボクを真っすぐに見つめて、いつだって楽しそうに目を細め笑っていた、あのリーザの笑顔。
ボクの描く世界の中、いつだって彼女は笑っている。
楽しそうに走ってはしゃいで、今にもおしゃべりしそうな顔をして。
コンコンと咳き込み、手で口元を覆った。
湿った違和感に、その手を開けてボクは笑った。
掌の中にある真っ赤な血を中指につけ、絵の中で笑うリーザの唇に紅をつけるように伸ばす。
次はどんなリーザを生き生きと描こう?
あと何枚の絵を彼女に捧げられるだろうか?
小さく自問し苦笑して、一枚でも多く描くために、また筆をとった。
――リーザに捧ぐ――
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