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「ああ、そんなに構えないで、ジョゼフ。私のことは、リーザと呼んでね? これから先、何枚だって、あなたにお願いするかもしれないもの、まずはお友達になりたいわ。それにきっと私たち、同じくらいのお年でしょう?」
「多分、そうですね」
二十四歳のボク、リーザは二十歳になったばかりと聞いた。
「あなたのことを、お父様には私から伝えておくから、いつでも好きなときにこの屋敷に通ってきてね? もちろん、あなたに他の仕事がある時は私の絵は後回しでいいわ。それとね、ジョゼフ。最初に言っておくけど、私、ありがちな肖像画は大嫌いなの」
「え?」
「ほら、よくあるじゃない? 女王様やら貴族の女性たちがこぞって気取ったドレスを着てツンとおすましをした肖像画。味気なくて私は好きじゃないの。あなたにお願いしたいのは、そういう絵じゃなくて。例えば私が砂浜を裸足で散歩しているような絵を描いてほしいの。波打ち際でスカートの裾を濡らしながら、楽しそうに笑っている私を描いてほしいの。そうね、一枚目はまずそれにしましょう?」
どういうことかと首を傾げたボクに、リーザは微笑んだ。
ああ、やはり天使なんじゃないだろうか。その背中に羽がついていないことが不思議だ。
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